〔1069〕
大直毘神[553]歌
新年伊始人喜乐
喜乐更比山柴多
千年一同贺
[原文]
新しき年の始めにかくしこそ千年をかねてたのしきを積め[554]
〔1070〕
古大和舞[555]歌
葛城山[556]上雪
纷纷飘落无消歇
思君情不绝
[原文]
細枝結ふ葛城山に降る雪の間なく時なく思ほゆるかな
〔1071〕
近江调
朝出近江国
蒲生野[557]上听鸣鹤
清鹤声中一夜过
[原文]
近江より朝立ちくればうねの野に鶴ぞ鳴くなる明けぬこの夜は
〔1072〕
水茎[558]调
山间小屋陋且简
我与阿妹相拥眠
哪管早霜寒
[原文]
水茎の岡の屋形に妹と我と寝ての朝けの霜の降りはも[559]
〔1073〕
四极山[560]调
望尽四极山
小舟渐隐笠岛[561]间
舟上无篷相遮掩
[原文]
しはつ山うちいでて見ればかさゆひの島漕ぎかくる棚無し小舟
神乐歌[562]
〔1074〕
采物歌[563]
神篱绕神山
神山之上神木繁
折来奉神前
[原文]
神垣の御室の山の榊葉は神の御前に茂りあひにけり
〔1075〕
纵几度寒霜
神木犹未黄
巫女[564]如叶焕容光
[原文]
霜八たび置けど枯れせぬ榊葉の立ち栄ゆべき神の巫覡かも
〔1076〕
卷向穴师山[565]
山人出山观祭典
采得山葛[566]冠上缠
[原文]
巻向の穴師の山の山人と人も見るがに山かづらせよ
〔1077〕
远山霜霰落
近山攀绕层层葛
方染胭脂色
[原文]
み山には霰降るらし外山なる真拆の葛色づきにけり
〔1078〕
陆奥安达[567]檀木弓
挽弓弓近人
愿卿悄然近我身
[原文]
陸奥の安達の檀弓わが引かば末さへ寄り来忍び忍びに
〔1079〕
我家门前井
远人不知井水清
寂寞水草生
[原文]
わが門の板井の清水里遠み人し汲まねば水草生ひにけり
〔1080〕
日女[568]歌
驻马隈河[569]边
马儿饮水君闲闲
水中清影现
[原文]
ささの隈檜の隈河に駒とめてしばし水かへ影をだに見む
〔1081〕
返物歌[570]
青柳捻作丝
黄莺穿柳巧缝织
织就笠戴梅花枝
[原文]
青柳を片糸に縒りて鶯の縫ふてふ笠は梅の花笠[571]
〔1082〕
吉备[572]中山有清泉
泉流绕山间
清音响潺潺
[原文]
まかねふく吉備の中山帯にせる細谷川の音のさやけさ[573]
〔1083〕
美作[574]久米[575]有佐良[576]
“佐良”啊“佐良”
莫把我名留山上
[原文]
美作や久米の佐良山さらさらにわが名は立てじ万世までに[577]
〔1084〕
美浓有藤河[578]
河水滔滔流不绝
仕君万世扬国祚
[原文]
美濃国関の藤河絶えずして君に仕へむ万世までに[579]
〔1085〕
民有君作主
代代繁衍辈辈出
如长滨[580]沙数
[原文]
君が代は限もあらじ長浜の真砂の数はよみ尽すとも[581]
〔1086〕
大友黑主
近江有镜山
山自巍峨镜朗然
映君寿千年
[原文]
近江のや鏡の山を立てたればかねてぞ見ゆる君が千歳は[582]
东歌[583]
〔1087〕
陆奥歌
阿武隈川[584]朝雾霭
又是一夜空相待
怨君何不来
[原文]
阿武隈に霧り立ちくもり明けぬとも君をばやらじ待てばすべなし
〔1088〕
陆奥纵有好风光
盐釜浦上舟归航
纤夫多悲凉
[原文]
陸奥はいづくはあれど塩竈の浦漕ぐ舟の綱手かなしも
〔1089〕
送夫都城行
我如盐釜篱岛[585]松
日日待归程
[原文]
わが背子を都にやりて塩竈の籬の島の松ぞ恋しき
〔1090〕
小黑崎[586]上三岛丽
欲携小岛上京去
作个伴手礼
[原文]
をぐろ崎みつの小島の人ならば都の苞にいざと言はましを
〔1091〕
劝言众侍从
宫城树下露如雨
为君撑雨笠
[原文]
みさぶらひ御笠と申せ宮城野の木の下露は雨にまされり
〔1092〕
最上川[587]稻舟[588]穿梭
好时辰不在本月
最好往后拖
[原文]
最上河のぼればくだる稲舟のいなにはあらずこの月ばかり[589]
〔1093〕
我心永不变
若违此誓言
波涛越过末松山
[原文]
君をおきてあだし心をわが持たば末の松山波も越えなむ
〔1094〕
相模[590]歌
有女摘菜攀岩崖
海浪请朝海里打
切莫淋湿她
[原文]
こよろぎの磯たちならし磯菜摘むめざし濡らすな沖にをれ波
〔1095〕
常陆歌
郁郁筑波山
大树成荫枝叶繁
不如君伟岸
[原文]
筑波嶺のこのもかのもに蔭はあれど君がみかげにますかげはなし[591]
〔1096〕
筑波山上红叶飞
难分难辨聚作堆
令人心欲醉
[原文]
筑波嶺の峰のもみぢ葉落ち積もり知るも知らぬもなべてかなしも
〔1097〕
甲斐歌
白头甲斐山
赫然横卧在中间
把人来隔断
[原文]
甲斐が嶺をさやにも見しがけけれなく横ほり臥せるさやの中山
〔1098〕
山风吹过甲斐山
风把音信传
代为报平安
[原文]
甲斐が嶺を嶺越し山越し吹く風を人にもがもや言つてやらむ
〔1099〕
伊势歌
梨树枝叶相交缠
不分不离覆海岸
日日共缱绻
[原文]
をふの浦に片枝さしおほひなる梨のなりもならずも寝て語らはむ
〔1100〕
冬日贺茂祭[592]时歌
藤原敏行
贺茂神社里
棵棵姬小松[593]
千年万代常葱茏
[原文]
ちはやぶる賀茂のやしろの姫小松万世経とも色はかはらじ
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